天使未満。


入試の前日。

まだちょっと熱があるけれど、何とか起き上がれるようになってきた。


朝食のおかゆを運んできてくれた飛鳥のお父さんが、学校からの連絡事項を伝えてくれる。


「試験会場の下見は、残念ながらできないよ。

試験当日、職員玄関でチャイムを鳴らしたら、ちゃんと先生が案内してくれるから大丈夫。

他の受験生と別の教室で受験することになったそうだよ」


「色々と、ありがとうございます」


「お母さん、とっても心配していたけれど、大丈夫だからって言っておいたよ。

早く治して、お母さんに会いに行けるといいね」


「はい!」


「明日、試験が終わったら、母屋に戻ろう。

飛鳥も心配しているけれど、試験が終わるまでの我慢だよって言っているんだ。

試験が終わったら、飛鳥と一緒に答え合わせするといいよ」


そこまであたしに気を遣ってくれる飛鳥の家族に、あたしは心から感謝した。