あたしの手を取って【うさぎのしっぽ】を握らせた。

あたしの片手が、渡辺先生の両手に包まれる。

あったかい……。

掌の中はほわほわな感触、外側は大きな手に温められた。


「大丈夫、合格できるよ。

合格発表、楽しみに待ってる」


「ありがとうございます。

渡辺先生も、頑張ってください」


「うん。お互い、頑張ろう」


渡辺先生の顔を見上げた。

青空と一緒に、あたしにだけ向けられた笑顔が見える。


どうしてこんなに、優しくしてくれるの?

たとえ同情だとしても、あたしは忘れない。

あなたの優しさ、あたたかさを。