メニューの名前までもが、愛らしい。


「えっと、俺はこれをライス大盛りで」


「あたしも同じものをください」


二人でメニューを指差す。だって……


「はい【腹ペコオオカミさんのカツカレー】2つ、えっと、1つはライス大盛りですね」


あたしたちは頷いて、顔を見合わせる。

あたしでさえ、メニューを言うのが恥ずかしいんですけれど。


「どうしてそうまでしてここに来たかったんですか?

また縁起担ぎでカツカレーを食べるため?」


カツカレーなら、どこにでもありそうなのに。

わざわざこんなにメルヘンなお店を、渡辺先生が選んだ理由がわからなかった。


「あとでわかるよ」