好きな人に『付き合って欲しい』なんて言われて、あたしはものすごくびっくりした。
……よく考えたら、ただご飯に付き合うだけなんだけど。
向かった先は、図書館と美術館の向かい側にあるカフェレストラン。
『森のウサギ』という可愛い店名にぴったりの、愛らしいインテリア。
「渡辺先生、どうしてここに来たかったんですか?」
席に案内されて、コートを脱ぎながらあたしは聞いた。
渡辺先生は、口元を手で隠すようにしながら、小声で呟いた。
「野郎だけじゃ、こんなところに来られない……」
ポーチには陶器のウサギちゃんがお出迎え。
店内はウサギちゃんであふれかえってる。
「確かに。渡辺先生、浮いてる……」
「知ってる……早く注文しよう」



