1、客観的になること


「これは逆に言うと、感情的にならないこと、かな?

たとえば、普段小説を読んで楽しむ場合、主人公になりきって読んだりするよね。

新聞で悲惨な事件を読んだら、犯人に対して怒りを覚えたりもするのが人間だと思う」


もちろん。あたしも実はある携帯小説を読んで、泣いたことがある。

うなづくあたしを見て、渡辺先生は話を続けた。


「でも、テストで必要なのは客観性なんだ。

論説文で筆者の考えを述べなきゃならないのに、自分の考えになってしまってはダメだよね。

小説だって、長編の一部分を切り取った問題から、いかにして根拠のある答えを見つけるかが大事だ。

国語の問題の場合、自分の考えはおいといて、作者の考えをどうやって見つけるかが重要なんだよ」