「翼く……っ」




去って行く翼くんの背中を見ながら、ただ呟く。




いやっ……行かないで!




気づいた時には自然と足が動いていて、私は翼くんの背中めがけて叫んだ。




「待ってっ……翼くん!」




溢れ出す涙を気にもとめず、翼くんの服を少しつかむ。




「何?」




振り返った翼くんの顔は、凄く怒っているような表情で、ビクッと体が震えた。