「サツには電話したか?」

男の声に 女はビクッと肩を震わせた。

恐れと緊張で のどがからからだ。

「や、やったよ。
予定通りだって、
あの人が言ってたから。
今頃、 家宅捜査に向かっていると思う。
これで・・・ 大会には出れないよ。」

男はニヤリと笑って、女を一瞥した。

「お前の学校も 運がない。
まぁ、 仕方ないか。
裏賭博のカケの対象になった時点で、
ツキは無くなってたんだろうがな。」

女もムリヤリ笑顔をつくった。

男が黒塗りの車で去って
見えなくなるまで、
女の顔には かわいた笑みが
はりついていた。