「元気みたいよ。」 「そっか。」 お母さんに会ったのはもう何年も前の話だ。 身体の弱いお母さんは、お母さんのお兄さん夫婦に連れられて、空気の綺麗な田舎へ引っ越した。 交通の便が悪すぎで、なかなか会いに行けない。 お父さんは、小学生のとき、仕事中の事故で亡くなった。 「なぁ、シズク。」 「………。」 「シズクのこと、シズクちゃんって呼ぶの難しいんだけど。」 「私はミドリ君呼びにくくない。」 「頼むって、シズク。」 ミドリ、なんて今さらすぎ。 確かに昔はそうだったけど。