ちっぽけな幸せを君に

 「あれ?先客か?」


 「……」


 流歌は何も答えずに人影を凝視している。やがて人影は俺達の方に向かって歩き始めた。


 距離が縮まるにつれ人影が中年の男だと認識出来た。その距離に比例して流歌の表情が硬くなって行くのを俺は気付かなかった。


 流歌の変化に俺が気付いた時には、男は俺達と数メートルと離れていない程近くに居た。


 「流歌、知り合い――」