ちっぽけな幸せを君に

 「俺さ、この手で母さんを刺したんだ……」


 流歌は何も言わずに俺から視線を外し、遥か遠くの雲の切れ間から覗く光を見つめていた。その表情は堅く、神聖不可侵な――


 女神の様に見えた。


 「俺の親父は仕事もせずに昼間っから酒を呑んでいるような男だった。気に入らない事があればすぐに俺や母さんを殴り、その度に母さんは俺を抱きしめて泣いてたよ――」