ちっぽけな幸せを君に

 それもいつもより遥かに近くから――


 俺はゆっくりて目を開けて上半身を起こした。




 謳っていた――


 屋上のフェンスの前で俺の方に背を向け、女の子は降りしきる雨に打たれながら謳っていた。


 眼下に広がる町並みを背景にして、まるで一枚の絵のように――


 その姿は神々しくさえ見え、俺はただ見ていた。


 見ている事しか出来なかった。