ちっぽけな幸せを君に

 綾香は何か言いたそうに少し口を開いたが、何も言わずに校舎へと戻っていった。


 俺は再び目を閉じて雨に打たれる。次第に雨は強さをましていき、体に当たる粒に痛みを覚える程の強さになった。




 母さん――


 あの時何故あいつを庇ったの?


 問い掛けに応えるかの様に、激しい雨音をかいくぐり俺の耳に声が届いた。


 「……歌!?」



 いつもの歌声だった――