ちっぽけな幸せを君に

 明らかにごまかして流せる状況ではなく、俺は渋々口を開いて短く言った。


 「……いたよ」


 「キャー!どんな人だったんですか?」


 薺が意味のわからない奇声を発して聞いてくる。


 「どんな……別に普通だよ。無口で恥ずかしがり屋で――でも甘えん坊で……」


 それと――


 「謳が上手かった……」


 俺がそう言い終えた頃には車内は既に違う話題に移っていた。


 聞いてないのかよ!?