私を見て、ポキポキと指を鳴らす。

え……もしかして、ヤられちゃう?

ケンカとか……ムリなんだけど。



「勝手に帰ったら……許しませんよ?」

悠馬くんの表情がフッと緩み、優しそうな顔になる。

脅されてるんだか、騙されてるんだか……

なんだかよくわからないな。



どちらにせよ、逆らわない方が良さそうだよね。

「……わかった。じゃあ、16時に教室に迎えに来て?」

「オーライです! あ~、面倒くせぇな」

なにっ!?



悠馬くんは、頭のうしろで手を組んで、ダルそうにして教室を出て行った。

ホント悠馬くんって、読めないな。

……やっぱり不思議なコ。



そのうしろ姿を追うように、私も空き教室をあとにした。