「もーすぐ、バレンタインだろ。どっか行きたい所とかある?」

「ううん、特には」

「そっか……。あのさ、悪いんだけど」

えっ、もしかして……用事があるとか!?

それはちょっとイヤかも。

でも、当麻くんは夜はウチには帰ってくるわけだし、ガマンしなくちゃいけないかな。

なんて、考えていたら。




「爺さんの店で、送別会したいんだけど……いいか?」

「へっ、送別会!? 誰を送りだすの?」

「送別会っつーか、サヨナラパーティ? ホラ、爺さんの店……もうすぐ閉めるし。

最後に、仲間集めて……賑やかにしてやりたいと思ってな」

「そうだったんだ。いいよ! 私も行きたい。だけどどうして14日なの?」

「14日は、爺さんの誕生日なんだよな。だから……」

お爺さんの誕生日なんだ!

おめでた~い! けど、バレンタインかぁ……。




思わず顔に出ちゃったみたいで、当麻くんが私の顔を覗きこんでくる。

「さやとは、イベントとか関係なく一緒にいれるしな。

今年だけ……勘弁!」

「うん。お爺さんのためだもんね。私も色々お手伝いするよ!」