【過食症のイラストレーター…塔子
自分の居場所を求める事務OL…ちひろ
恋の訪れを待つフリーター…里子
仕事を隠して愛しい男に会いにいくホテトル嬢…秋代】


出てくる女性たちは特別ではない。どこにでもいるような人たちで。
みな、ふだんは笑って、仕事をして、恋をして、生きている。それが、とてつもなく、さびしく感じる。
笑ってやりすごすふりをしていても、心ではバカにしている。他人をバカにし、バカにしている自分をバカにする。


めぐりめぐって「自分は誰にも求められていない」


その考えの行き着く先は「あたしなんか死ねばいい」


でも、ただそこにあるだけの「故郷」があり、お腹に水疱ができてもそれでも泳ぎ続ける「お魚」がいて、自分が死んだら泣いてくれるっていう「人」がいて。


「神様」はいなくて。


そういうことだから、やっぱ生きようと思えてきて。


さびしいさびしい、とてもさびしいお話で。


そういうさびしさを抱えている人がたくさんいると知ったとき、そのときもう、さびしさはちょっと癒えていて。


ひっそりと、しずかに、そういう他人のさびしさに気づけると、ふいに孤独がやさしさになっていて。


人のさびしさに気づけるくらいは、さびしい人間でありたいと、そう思えるだけで、存在証明。