「そ、その花、どうするの?」

恥ずかしくて俯きがちに質問をなげかける。


「ほんとは日陰に持って行きたいんだけど、ここらへんはいい日陰がなくてさ」

彼は眉をハの字に下げながら苦い笑みを浮かべる。


「じゃあ、私の傘、使う?」



「え、いいの!?」

嬉しそうな笑顔を浮かべる男の子。


「もちろん!」

に、と微笑みながら傘を手渡す。


「ありがとう!」

無邪気に笑うその人がかわいくて思わず笑っちゃう。

相手も一緒になって笑ってて、なんだか楽しい。


そして傘はかわいた空に向かってパン、と開き花に日陰をつくった。

男の子は満足そうに花を見つめたあと、私に向かって


「あ、じゃあさ、帰りに俺んちによってってくんないかな?」

と言い放った。