道行く人の誰もが、地べたに座り込むあたしを素通りしていったのに、

この人は手を差し伸べてくれた。


この人は――――誰?



「お前、寝取ったわけ?」


「違いますっ!決して!」



いきなり問い掛けられて、すぐさま返事を返す。


寝取るなんて、とんでもない!

生まれて19年...

そんな覚えなんて一切ないもの!



「...あたしが浮気相手だったみたいで。」


あたしは、みじめだ。


軽く俯き、ボソっと呟いたあたしを、どこかへと引っ張っていくこの人。


夕方の人ごみを掻き分けて、着いたのは。


街から少し離れた、小さな公園。


錆びたブランコと、くすんだジャングルジムと、小さなすべり台だけの...

少し、寂しげな公園だった。