メルト・イリュージョン



「そ、そんなの分からないじゃないですか!?」

流石に、乙女心が傷付いた。


若干、ムキになって睨みを効かせる私に、相変わらずパソコン画面に夢中になっている彼は、一瞥ひとつ寄越さない。


「な…何をそんなに真剣にやっているんですか」

その表情に、ピンと来るものがあった私は、ひとまずその問題は脇に置いて問いかけてみる。


彼がパソコンと向かい合っている時は、いつも以上に隙がない。

だからこそ、気になる。その画面の中に隠されたパンドラの秘密を──



「それって、オレに覗いて欲しいって事?」

「へ?」

だが、待ちに待って返って来た思いも寄らない返答に、私は間抜けた声を出した。