メルト・イリュージョン



***


「シャワーとトイレは、好きな時に使っていいよ。寝る時は、適当にそこら辺に」

彼の指差した方角を見つめ、私は嫌な予感をひしひしと募らせた。


「シャワーって……もしかして、外?」

「そう」

やっぱり……!


昼間ここを訪れた時、周りの環境を少しだけチェックした。

その時、事務所の裏手側に、ベニヤ板を繋げて造っただけの簡素な囲いを見つけて、不審に思ったけど……


「む、無理です!あんな吹きっさらしの場所で、シャワーなんか浴びれません!!」

「大丈夫だよ。ここの周りに人いないし」

そ、それは、確かにそうだけども…っ…‥


「でも、もし誰か来たら……」

万が一と言う事もある。


「一応、外からは見えないようになってるよ」

「板の隙間から覗いたら、見えます」

「誰も見ないよ」

……な…っ!?


パソコン画面に集中しながら、カタカタとキーボードを打つ打つ彼が吐いた失礼極まりないセリフに、私は顔を真っ赤にしてわなわなと震えた。