2年前、あの時と全く同じ言葉が、耳に入ってくる。 「どうせ、あんたもここに住み着くんでしょ?」 他の猫と同じ──。 モヤモヤと胸元から込み上げてくる苦いものを誤魔化し、私は小さく愛想笑いをする。 「人材適正検査特例条約Case;1につき……しばらくの間、あなたを観察させてもらいます」 彼は何も答えない。 そもそも、そんな事どうだっていいような顔つきで、パソコンのキーボードをカタカタと打ち出す。 仕方ない。彼にとっての〝猫〟は、ただの通りすぎに違わない。