「……カナメ?」



俺に寄りかかったまま
微動だにしなくなった
カナメに呼びかける。



だけど
返事はなく、



変わりに
返ってきたのは
規則正しい寝息。



「~~っ!!!」



何かヤバくねぇか???


この状況。
なんだろうな。



カナメって
無防備だし
危機感0だよな。



ノコノコ
男の部屋について来て…



俺だって
理性もつか解んねぇのに。



いつから、こんなに
カナメに惚れてんだろ。



そういえば、
カナメ家出したって…



理由は
なんだか知らねぇけど



一応、壱瑚と千歳にも
しらせとかないとな。



携帯をポケットから
取り出そうとし、



体制を崩そうと
試みるがカナメが
引っ付いて動けない。



「……ン…」



やべ…
起こしたかも。



少し焦りながら
カナメの顔を覗き込む。



そしたら
チュっと唇に
柔らかいモノが当たった。



「…え、」



俺らしくない
間抜けな声をだす。



い、今…
キス…した?



イヤイヤ、
今のは事故だ。



うん、そうだ。



そう思ったけど
自分の唇を触って
1人勝手に照れる。



…キモイ。
何かキモかった。



何してんだ!!!




頭をブンブン横に振って

カナメの頭を
膝に移動させる。



やっと携帯を
手に取り連絡をした。



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TO.壱瑚
  千歳
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件名.カナメ
――――――――――――
     (本文)


カナメが家出したらしい。

理由はまだ知らねぇ。

だけど、
帰りたくないらしい。

お前等も心配なら来い。


―――――end―――――