「葵、どうしたの?」
あたしの様子が変なことに気がついた紫帆が箱の中を覗き込む。
「あちゃー、やっちゃったね………」
「どうしよう、紫帆。あたし、渡すの止めようかな………」
翔は、きっと、あたしがあげなくても、美味しいチョコをもらってるんだろうし
「だめ!翔くんなら、食べてもらえるよっ」
「そうかな………」
確かに、翔ならどんなものでも食べてもらえるような気がするけど
あたしが、翔にこんなものを食べてもらうなんて、嫌。
「うん、葵が作ったものなら、どんなものでも嬉しいと思うよ」
紫帆に励ましてもらえて、少し前向きになった。

