3年生。

夜錐 真尋(やぎり まひろ)―――前・学級委員長。



2年生。

山本 優梨(やまもと ゆり)―――現・学級委員長。





俺たちは、晴れて恋人同士になった。





『ま、真尋先輩!!』



今にも泣きそうな声で俺の名前を呼んだ、山本さ……優梨に、もう何度目かわからないセリフを吐いた。



「就任おめでとう、学級委員長さん」



うちの高校は少し特殊で、生徒会がない代わりに学級委員が学校を執り仕切っている。


各学年の委員長と副委員長は、前年度の委員長に指名されない限り就任することはできない。


もう卒業してしまった前委員長の―――椛ノ木(かわのき)先輩から指名されて、俺は前年度の委員長を務めていた。


そして俺にも、お役御免の時がやってきた。



『なんでっ…なんで私が!?次期委員長は灘谷くんだって、言ってたじゃないですかっ…!』



本当に泣き出してしまいそうな優梨の顔にぎょっとして、俺は慌てて駆け寄った。


しかし委員長就任は今さら取り消せるものでもなく、俺は灘谷との賭けの続きを話すことにした。



『つ、続き…?あれに加えて、まだあったんですか…?』



灘谷 彰哉(なだたに しょうや)―――2年生の学級委員長を務めていた。


頭脳明晰で仕事もそつなくこなすことから、次期委員長の最有力候補だった。



しかし。



優梨の委員長就任を願ったのは他でもない、灘谷本人だ。