「山本さん」
どきーんっ!!
次の授業の用意をしていたら、静かに後ろから声を掛けられた。
……聞き間違える、わけがない。
こ、この声はっ…!
『…な、灘谷くん…』
振り向いたのと同時に、視界にキラキラと金粉が舞った気がした。
…ああ、今日もとっても輝いてる…!
表情には出さないように頑張って耐え、まるで失恋した事実など無いように笑顔を浮かべてみせた。
……ぎこちないのは、しょうがない。
「今日、放課後に委員会があるって。夜錐(やぎり)先輩から回ってきたよ」
ひらりと無駄のない美しい動きで一枚のプリントを渡され、私はおずおずとそれを受け取った。
よく見慣れた明朝体で―――11月14日の放課後、学級委員は会議室に集合と書いてあった。
私は何度か文書の上で視線を往復させ、よく読んでから灘谷くんに視線を戻した。

