「山本ちゃんは悪くないって!…しまったなぁ。僕はこの後すぐ、花屋に行かなきゃなんないんだよね…。良い花束ができたから見て欲しいって言われてさ」
…あ、それって…!
昨日の、花束の話だよね…?
私が思わず笑みを浮かべると、花寐先輩が思い出したように言った。
「そうだそうだ、山本ちゃんのお陰だって言ってたよ!ありがとね!」
花寐先輩の言葉は、どれもが少し甘すぎるストレートで。
私は全てを鵜呑みにしてしまうから、とても幸せな気分にさせてもらえた。
『………わ、私!夜錐先輩と灘谷くん、捜してきますっ!』
花寐先輩や、他の皆さんの役に立ちたい。
それに……なんの根拠もないくせに、何故か2人を見付けられる気がした。
珍しく私が強く発言したことに驚いた花寐先輩は一瞬目を見開いて、それから目元を緩めた。
「ん、わかった。山本ちゃんにお願いするよ。真尋には散々電話してるのに、繋がらないんだ。どこにいるのか、見当も付かないけど…」
『わかりました!』
大きく頷いて、私は会議室を飛び出した。
「………上手くやれよ、真尋」

