嘘とビターとブラックコーヒー 【短編】



あわわわわっと心臓が張り裂けそうなくらい慌てていると、灘谷くんが窓際にあるテーブルを指差した。



「山本さんの意見を聞きたいんだ。ちょっと良い?」



わ、私の意見!?


すっかり茹で上がった私の頭は、冷静な判断ができなくなっていた。


本能の赴くまま、私は何度も首を縦に振った。


…激しく振りすぎてもげてしまいそうだな、と思いながら。



「お、山本さん連れてきたか」


「はい、同じクラスなので」



同じクラスだから私を選んだんだ……それでも全然良いですけどね!


なにも問題はありませんとも!


勧められた椅子に座りながら、私は同じクラスで良かったと心底思った。



「んじゃ、早速やるか」


「そうですね。山本さん、当日の花束はどんなものが良いと思う?」



机の上にはいくつかの写真が広げられていて、そのどれもが色とりどりの花束を写し出していた。



写真で見る限りは大体同じサイズの花束で、隅に小さく値段が書いてあった。