嘘とビターとブラックコーヒー 【短編】



ぽつんと一人取り残された私は、落ち着きなく辺りをキョロキョロと見回した。


み、皆…それぞれの作業してるよね…!


案の定、暇そうにしてるのは私しかいなかった。



『(ど、どこか手伝いに…!)』



そうと決めたら、即行動しよう。


思いきって立ち上がったところまでは良かったけど、その後が動けなかった。



……私、友達いない…!



だ、誰に話し掛けたら良いんだろっ…!?


それに、なんて言えば良いの!?



手伝いましょうか。


手伝うことありますか。



ないって言われたら私、どうすれば良いの!?


ああああっ…と下を向いたまま立ち竦んでいると、誰かの靴が視界に入った。


同じ色だから、私と同じ学年だよね?


おもむろに顔を上げた私は、心臓が飛び出るほど驚いた。



『っ、な、灘谷くん!』





なんであなた様が、私のところに来てるの!?