「……すまなかった。君がそこまで真に受けるなんて思わなかったんだ」
私は、さっきまで狼狽していた自分の姿を思い出した。
…………バカじゃないの?
なにあんな、涙目になっちゃって…!
自分の間抜けさに、穴があるなら入りたい気持ちに駆り立てられた。
寧ろ、自分で穴を掘って入りたい。
『私の方こそ、すみません!ほんと、私っ…!』
“山本さんって、マジ冗談通じないよね”
『(………っ!)』
私と話した後に、必ず相手から言われる言葉。
毎回なんでもかんでも鵜呑みにするのは、私の悪い癖だ。
真に受けた所為で、今みたいに相手に迷惑を掛けてしまう。
『(また、やっちゃった…!)』
夜錐先輩はきっと、気恥ずかしさから私にああ言ったのに。
なのに私は、先輩を不快にさせたなんだって喚いて…!
こんなの全部が全部、普通に考えればわかることじゃないっ…!

