『(…なんか…良いなぁ…)』
単純に、そう思った。
花寐先輩と夜錐先輩が、固い友情で結ばれてること。
羨ましくもあり憧れでもあり、何故だかそれでいて嬉しくもあった。
「なんか改めて言われると照れるなぁ」
口ではそう言ってるくせに、花寐先輩は至って平常だった。
逆に夜錐先輩の方が、よっぽど恥ずかしそうに顔を背けていた。
『(………お似合い、です)』
2人に挟まれながら歩くのが、少し申し訳なくなった。
いつもならきっと、2人で仲良く話しながら帰ってるはずなのに。
…私がいると、絶対邪魔になってるよ…。
そんな考えを見透かしたように、花寐先輩が私の肩を叩いた。
「山本ちゃんさぁ……2人の邪魔しちゃって悪いなぁ、とか思ったでしょ」
にやりと笑みを浮かべる花寐先輩に、私は思わず目を見開いた。
な、なんで読まれてるの!?
「……山本さん、そんなことは思わなくて良いよ」
溜息混じりに夜錐先輩が答え、私は呆れられてしまったんだと気付いた。

