嘘とビターとブラックコーヒー 【短編】



『……あの、先輩方はとても仲が良いんですね』



前々から、訊きたかったこと。


こんな機会はもうやってこないと思い、勇気を出して訊いてみた。



「え、僕と真尋?」


「俺と元睦か?」



2人は私を挟んで顔を見合わせると、露骨に顔を顰めた。




「ただの腐れ縁だよ」


「ただの腐れ縁だな」




ええええっ!?


めちゃめちゃ仲良いですよね、更には息もぴったりだし!!


あまりの矛盾ぶりに唖然としていると、花寐先輩が突然吹き出した。



「はははっ!ごめん、今のは嘘。真尋とは高校で初めて会ったんだけど、なんていうの?インスピレーション、を感じてさ!」



花寐先輩はけらけらと笑いながら、懐かしむように目を細めた。


対して夜錐先輩は、わずかに口角を上げて笑っていた。



「ああ、俺も同意見だな。元睦ほど気の合う奴に、出会ったことはない」





それからもう一度2人は顔を見合わせ、今度は同時に笑い声を上げた。