嘘とビターとブラックコーヒー 【短編】



「いやぁ、11月にもなるとだいぶ寒いねぇ」


「本当にな。まだマフラーで凌げる寒さだが」


『……………』



いや、あのですね?


やましいことなんて、何一つ考えていませんでしたとも。


でも……でも、まさか。



花寐先輩も一緒だとは、思わなかったんです!!



『(リアル・両手に花、だよ…!)』



こんなの誰か(女子生徒)に見られたら、視線が刺さるどころじゃないよ!


物理的な意味で、なにかが刺さる!!



「寒いの?山本ちゃん」


『へあああっ!?さ、寒くないです!寧ろ暑いくらいで!!』


「暑い?山本さんは凄いタフなんだな」



だってなんか変な汗がでてきてますからね!


そりゃあこのシチュエーションで、緊張しないわけがありません…!


花寐先輩に、心の中でそう返事をした。




…それから、夜錐先輩の少しズレた返答に思わず笑うところだった。