私に突き刺さる視線が、めちゃめちゃ痛いだけで!!
「よろしく、山本さん」
口端を少しだけ吊り上げ―――まさしく微笑を浮かべた夜錐先輩が、社交的な物腰で言った。
こちらこそよろしくお願いします、と私も口早に返し頭を下げた。
……あああっ…皆がめっちゃ見てるよ…!
花寐先輩がこちらを見ているのに気付き、私は首を傾げた。
目が合ったかな、と思った時には既にこちらを見ていなかった。
花寐 元睦(はなび もとちか)先輩―――名字もさることながら、性格も変わった人だ。
なんでも噂によると、夜錐 真尋(やぎり まひろ)先輩の親友らしい。
どちらも女子生徒から人気がある先輩で、確かに背も高いし顔もカッコいい。
男の人にしては綺麗な顔をしていて、分類分けをするなら灘谷くんと同じ区分になる。
……肝心の灘谷くんは、知らない先輩と同じ係になっていた。
あああああっ…!

