歩美が聞いた瞬間、彼は少し目を細めた。 「なにもないな‥ いきなりだったんで俺も驚いたが‥ それだけだ。」 そう言い放つと 「用はそれだけか? じゃあな。」 彼は背を向け教室に戻ろうとした。 「待って!」 わたしは呼び止めた。 「転校する前になにか変わったことなかった? 新しい時計を買ったとか、背後に足音が聞こえてたとか‥‥」 これを聞いた彼は少し躊躇ったようにし、目をそらした。 「なにかしってるんだね?」 歩美がそう聞くと彼はこっちを見てた。