そして
試合が始まった。
「両者、構えて。……はじめっ!」
審判である土方の合図により、桜、沖田の二人の表情は変わった。
(……隙がない。)
沖田は冷静に桜を観察した。
構えるとき、並みの人なら腹、頭などには隙ができる。
しかし、桜にはそれがない。
(それに……、殺気がまるで無い。)
そう、
桜は真剣な表情、というより、気合いの入った表情なのだが
殺気どころか気配すらあまりない。
沖田がそれを不思議に思っていると
音もなく
桜は床を蹴って沖田の目前まで移動した。
「――!」
「沖田さん、油断大敵……ですよ。」
桜により振り下ろされる竹刀を受け止めようとするも
「……な!?」
目前に桜の姿はなく
――パアン!
腹に、痛みが走った。



