桜は、サクラの木を見上げ、満開の花を見る。



ハラハラと舞い落ちてくる花弁は、命の欠片なのだろうか。

そう思いながら、桜はその花弁をそっと掴んだ。





「命……か。」


土方は呟くように言った。


何か、思うことがあるのだろうか。

死と常に隣り合わせの彼……いや、彼らは、死ぬことに恐れなど無いのだろうか。




「土方さんは、新撰組で働いていて、……死が怖くはないのですか?」


つい、桜はそんな質問をしてしまった。



「怖い――とか言ってたら、武士なんざ務まんねえよ。」



土方は、夜風に当たって酔いが冷めてきたのか、先ほどより口調がハッキリしていた。