ふと、副長が開口した。 「いきなり現れて、満月の日に帰るたあ、アイツはかぐや姫みたいだな」 「…アイツは、居ましたよ」 「………」 「お伽噺じゃなく、存在してました」 「…だよな」 副長が言いたいことも分かる。 アイツが最初に着ていた真っ白な服も、よく分からない『ばっぐ』とかいうやつも、全て無くなっていた。 俺達の記憶以外、 存在したという証拠がないのだ。 でも、居たんだ。絶対に。 ――月が平和であることを願う。