ますます混乱する桜。
告白するつもりがなかったのなら、何故。と。
「ワケわかんないです」
「ああ、俺もだ」
「なんでですか!」
仕出かした張本人でしょうに!!と喚いていると、山崎は顎に手を当て、考え込む。
「俺は」
「はい」
「誰も好きにならないつもりだった」
「………」
今度は、なんでですか、とは訊けなかった。
「好きになったとしても、告うつもりなどなかった」
「……そうなんですか」
「昔」
山崎は虚空を見つめて話し出す。
桜は、それを黙って聞くことに努めた。
「昔、俺にも好きな人が居た。梅という人で、綺麗で、いつも微笑んでいて…、恋人もいた」
「え」
「相手は、当時の筆頭局長の芹沢さんだった」
筆頭局長がどんな役職なのかは理解できないが、おそらく、今の近藤よりも上の立場なのだろう。と推測した。
「見ているだけで幸せだ、と。本気で思っていた」
「……」
「梅さんが、間者だと分かるまでは」
「じゃあ梅さんは」
「裏切っていたんだ。新撰組を。それでも、笑っていれたんだな」
目を伏せる山崎は自嘲的な笑みを浮かべていた。



