そして、一晩が過ぎ
今日は川瀬家があった村に行く日だ。
任務、というわけではないから、普通の着物を着て、お美弥さんに髪を整えてもらった。
「おー、お美弥さん、さすがです!なんで簪一本で髪がこんな風に……うーん」
「慣れよ、慣れ。さ、山崎さんが待ってるわよ?」
「ですね!行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい」
笑顔で手を振ってくれたお美弥さんが居る部屋をあとにして、門のところに行くと、着流し姿の山崎がいた。
「山崎さん…珍しいですね」
「任務ではないからな」
「似合ってますよ!」
桜が笑顔で言うと、山崎は何も言わずに歩き始めた。
慌てて着いていくが、山崎の顔が少し赤いことに気づいた。
(照れてる?…分かりにくいなー)
苦笑いしながらも、なんだか嬉しくなった。
これは褒めても相手にしてくれないだろうと判断して、違う話題を投げかけることにした。
「山崎さん!昨日のことなんですが」
「…なんだ」
「少しずつ、受け止めていくことにしました」
悲しみが大きすぎるなら
少しずつ、少しずつ、
「それでも、全部、受け止めます」
そう言うと、山崎は口角を上げて、微笑んでくれた。



