『今は大丈夫なの?今日の心花の声は前よりずっとはっきり聞こえるし…』



つい、話をそらすように訪ねた。



心花が悪いわけでは絶対にない。



これは真神にいつの間にか継がれていったたった一人だけを深く愛する運命の元に生まれた人狼の悲しい血の運命(サダメ)だ…。



花嫁を愛するが故に起きた悲しい事件…。



お父さんの話を思い出して胸がぎゅっと締め付けられた。



本当の《悪いモノ》がなんなのか…わからなくなる……。



そう考え込んでいるところで、心花が話し始めた。



『今は…紫月の意識がそれてるから。

でも大丈夫ではないの…。


…紫月の呪いは完成した。

きっと、すぐにでも祈咲を求めて現れる。』


『………っ。』







息を飲んだ。










もう、一刻の猶予もない。…心花はこれを伝える為に現れてくれたんだ。