「フラフラと、ろくに食事もとらずにいた身体が動き出した。 小さな音に呼ばれるように… 森を抜けて、辿り着いた所が灰音の屋敷だったことに気づいたのは ……私を呼んだ《音》が、……《赤ん坊の泣き声》だとわかった後だった。」 「それって…」 思わず呟きをもらしたあたしに白い狼はうんと頷いて 「千比絽さんに抱かれながら泣いている……赤ん坊の十夜の声だった。」 「やっぱり…!」 予想通りの言葉に、つい笑顔で嬉しげな声が出た。 二人が再会をしたことが、何だか無性に…嬉しかった……。