甘い花の香りを花嫁はまとうのだと皆が言う。 甘く狂おしいほどの感情をもたらすのだと… 私に与えられたのは 微かな微かなその香りと…… 甘く狂おしいなどとは夢にも思えぬ 引き裂かれそうなほどの胸の痛みと切なさ――――… それはおまえが消えて逝くときの痛みと切なさだったのか……? 花嫁よ ――――私は、悔しい。 弱き己の存在が 全てを奪った黒き狼という存在が そして、 おまえの代わりに生きながらえた花嫁が 憎い