〈千広先輩目線〉
「……ずっと見てたのは何か用事があったんですか?」
俺は旅館の
ロビーで振り返った
「別に…勘違いじゃないですか?」
にっこり笑って
神田さんは言った
さっき槌谷と
話した時近くにいた
神田翔太…
槌谷が好きかもしれない俳優…
けど所詮、俳優
釣り合わないだろう
「一応聞きたいんですが槌谷とは何もないですよね?神田さん」
「仕事してるスタッフにそういう感情は感じません。」
無表情で何もわからない
「それは良かった。すいません、失礼な事聞いてしまって、では」
そういう感情はない…か
本当かな
「……好きなんじゃねぇかよ。」
翌朝…
あたしは美帆にひかれた
「顔やばいわよ!くま、くま。寝てなかったの?馬鹿じゃないのー、何があったのよ昨日。」
「いろいろあって…」
「はぁ、いろいろて何よ?」
美帆はん?と首を傾げた
言ってもいいよね
美帆には…
「昨日の夜、千広先輩に告られた。好きだって…」
一瞬固まってはははと笑った
「…なに夢みてんのよー。」
「いや夢じゃなくて…、本当に言われて。返事は映画撮り終わるまで待つて…」
…美帆は はあぁと
盛大なため息をついた

