ウラコイ2 銀幕の旦那様



「…数分でも数秒間でも俺の撮った画をみてくれた、それだけで嬉しくなった。槌谷もそうじゃないか?」




「……。」




初めて撮った画



初めてカメラに触った時
全部…父・槌谷潤に教えて貰った








あたしもお父さん
みたいになりたい……


なれるかなぁ?





「……。」


「大丈夫だよ…。誰だって迷うし揺れる。迷っていいんだよ」



「はい。」




ありがとう 先輩…
でも、やっぱり不安なの





翔太君が表舞台で頑張って
俳優としてやっている




あたしは裏でカメラマン…







けしてカメラマンという
仕事を下に見てる訳じゃない…





けれどどうしても、思ってしまう…





やっぱりどこかで彼の
仕事とは見えない
線みたいなのがあって




どう頑張ろうが
その線は越えられない…






カメラマンだから
俳優にはなれない…





「なぁ槌谷、」



「……はい。」



はっとした
千広先輩は 遠くを見てた




「神田さんが好きなのか、休憩以外ずっと彼見てるから」




「え……っと。その、」




急に 翔太君の話題。

何で先輩が…聞く……






―彼氏いるのか…て聞いてきたわよ?…






本当にわたしを好き?



「好きなのか。まぁ当たり前か、怜一さんの息子だしな」



「……何でそんなことを、」