「…」
「妬かない訳ないけど、それ言ったらキリがないじゃない。俳優だもの…」
「……確かに一理ありますね。」
そういう覚悟も
持って彼と付き合うって決めたんだから…
「槌谷さんは女優になりたいとは思わなかったですか…?」
「…あんまり、でもたまに思うよ。もし女優だったら…どんなに良いだろって」
堂々と彼と付き合えて
同じ役者としての
気持ちも少しは分かっていられた…
あの人…美麗さんについていったら
女優を目指したかもしれない
一条さんがいまは
同じ女優を目指してるように…
彼女はあたしが
選ばない道を行った
彼女ははもしかしたら
あたしがなるはずだったかもしれない
もう一人のあたし
「けどあたしはカメラが好きだし…いいの。」
翔太君だってカメラマンの
私を褒めてくれてる
それだけで いい…。
翔太君は一条さんと話していた
工藤くんはなにも
言わず傍にいてくれた

