「ねぇ挨拶が終わったら観光…したいんだけどダメかな…」
駅弁を食べた後すまなさそうにみちるさんは 聞いた
「いいですよ。お姫様…おれはしばらく暇だから、どこに行きたい?」
「良かった。えぇと…ね」
バックから旅行ガイド誌を出す
「ホタルは時期終わってるなぁ…温泉行きたいな。あ、こことここは行ってね…あと…、」
彼女は言葉をきっておれを見た
「…」
「どうした、」
「…」
おれがにやにやしながら
見ていたのが気になったんだろう
うらめしそうに睨んでくる目はあまり怖くなかった
「馬鹿にしてる笑いじゃないよ」
「ホント?」
「本当。これはみちるさんつられて笑ってるんだよ、あまりにも楽しそうだからさ」
そう言ったら ふふと言った
機嫌はなおったみたいだ
電車は2時間弱で伊豆に着いた
駅には迎えの車(手配されたタクシー)がいた
みちるさんの表情は少しこわばっていた
やっぱり緊張しているのか…
電車では 眠ったり話たりして楽しそうだったのに
おれはそっと手を握った
わずかな手助けにしかならないかもしれない
みちるさんは おれの方を見た

