「美味しいね」
「うん」
伊豆に行くのははじめてらしい
遠足に行く小学生みたいにはしゃいでいる
「…みちるさん」
「ん…」
「大丈夫?」
「だいじょうぶだよ」
にこと笑った
彼女の母親に挨拶に行く
こういう状況は男は緊張するはず
なのにおれは特にしていない
なんていうか…
そのまず彼女が母親と
うまくいくかが一番心配だからだ
挨拶とかはそれが済んだ後だし…
まぁ反対されることはないだろうけど…
「まだ海見えないね」
「まだ先だよ…」
駅弁を膝の上に置きみちるさんは窓をみる
光の加減で髪がきれいな茶色に見えた
一条美麗…
写真は見たけど改めてきれいな人だと感じた
みちるさんは大方潤さん似だけど
こうしてみると確かに美麗さんの面影もある
ふと見た時の彼女ははっとするくらいきれいだ
母親といたらもっときれい
になってたかもしれない
そう……一条めぐみみたいに
別に彼女みたいに綺麗に
なって欲しいわけじゃない
そういうわけじゃないのだけど…
「翔太くん、箸とまってる」
「あぁ…。あ、オレンジいる?食べられないんだ」
仕方ないなぁ とみちるさんは言った

