「……かわいいな。」
怜一さんは微笑みながらみちるちゃんを見ていた
それから少しして事件が起こった
「事件…」
カチコチと時計の音がする
おれは母さんに聞き返した
「手のひら返したみたいに美麗さんが冷たくなったのよ。」
「は…なんでだよ、」
「マスコミが騒ぎ出したのよ。彼女は子供がいるんじゃないかって…」
「いいじゃないか、別に。普通に公表したら…それはそれで」
母さんは首を振った
「出来なかったのよ、」
「…だからなんで」
「認めなかったのよ。事務所が、挙げ句の果てには彼女のスキャンダルをばらすって言ったのよ。だから…」
「は…事務所には報告したんだろ」
母さんは えぇと言った
「報告はね。事務所側も一応は受けたわ、それから美麗さんは変わったのよ。彼女が戻ってくるのを待ってた一条監督のオファーを受けて、女優への道を選んだ。みちるちゃんを…潤くんに預けてね」
「父さんは…」
「呆れて怒る気力もなかったわよ。潤くんも預かってくれる人もいなかったし…だからみちるちゃんを現場まで連れてきてたのよ、」

