しばらくして美麗さんが出産したと聞いた




わたしは怜一さんと結婚
しようと話が出てきた頃だった




わたしと怜一さんは
槌谷君の家に遊びに行った




ちょうど美麗さんもいた



「みちるっていうんだ。怜一、命名の字書いてくれてありがとな」


「いや、…赤ん坊てこんな感じなのか?」



「可愛いじゃない、みちるちゃんかぁ。女の子かぁ」




美麗さんは 紅茶を
テーブルに出しながら笑った


「生まれる時、中々出てきてくれなかったんです。彼も仕事が長引いて来なくて…苦しくて苦しくて死ぬかと思った時にちょうど来てくれてその時みちるが生まれて来たんです」


「…なんかすごいですね」


「でもみちるって…なんで平仮名にしたんだ?」



槌谷君はあぁと照れたように笑った


「本当は漢字の方も考えてたんだけど…この子の顔見たのと、柔らかい雰囲気にしたいと思ってさ…抱くか?」




あぁと怜一さんは
みちるちゃんを抱っこした



きゃっきゃっと笑っている



「人見知りしないのか、泣かないな」


「いや知らない人間だったらそれこそ大泣きするんだけどな…、怜一が優しい人だって分かってるんじゃないかな?」