怜一さんはジロリと槌谷君を睨んだ
「わかってるよ、怜一」
槌谷君は ゆっくりと答えた
1ヶ月したころ
美麗さんが休養に入るという
内容のワイドショーを見た
スケジュールがきつすぎて
体に無理が生じたからだろうとアナウンサーは言っていた
どうにかうまくまとまったんだと私はホッとした
「槌谷君、おつかれさま~」
帰り際 休憩室でうーんと
うなっている彼を見つけた
「弥生さん。お疲れさま、いま終わり?」
「うん。どうにか…なにそれ、あ…考えてるの」
槌谷君の手には子供の名前の
付け方というタイトルの本
「うん、名前て考えるのなかなか難しいなぁ…親を改めて尊敬するよ」
本には何枚かふせんが見えた
「性別もわからないしねぇ…」
「お前等…廊下まで丸聞こえだぞ。遠慮っていう言葉を知らないのかよ、」
怜一さんがネクタイを
緩めながら休憩室に入ってきた
「お疲れ~」
「…あぁ、名前か」
怜一さんはちらっと本のタイトルを見た
「難しくてさ。なかなか決まらないんだ…」

